2012年4月13日金曜日

生物基礎の授業展開 その2 生物の多様性と共通性

僕の使っている教科書では「生物の多様性と共通性」となっているのですが、「多様性」もあるけど「共通性」もあるんだよ、と、二項対立的に伝えることは、生物の本質を外れた授業であると考えます。

自然科学に限らず本質的なものはシンプルです。生物学の入り口である「生物基礎」の授業でも生物の「共通性」をシンプルに伝え、その共通な根本原理がどの様に発現するかによって様々な「多様性」を生じていることを伝えるよう、力を注ぐべきでしょう。

生物に共通な根本原理として僕が生徒に伝える事はこれです。
これは前回紹介したプリントの一部です。
具体的な授業を展開する上で、いつもこのことを頭の片隅において授業をしています。

今回の単元「生物の多様性と共通性」でもこの姿勢は変わりません。

教科書には生物の特徴として
細胞
代謝
生殖
恒常性
刺激の受容と反応
進化
などがあげられていますが、なんの説明も無しにこれらの項目を列挙すれば、たぶん生徒はこれらが個別の理論で成り立っている無関係な事象であると理解します。それは生物学的理解ではありません。


そこで、この単元はこのプリントの流れですすめる事にします。

この中には「生物基礎」の内容から逸脱したものも含まれています。なあに、かまうもんか。だって、こうしないと、来年度「生物」を選択する生徒に二度手間になっちゃうんだもん。

指導の上で特に注意することは次の点です。

1.生命の誕生には深海熱水鉱床の動画等を見せて、生命が穏やかな環境で生まれたのではなく、高温高圧下の(原生物からすると)苛烈な環境で生じたことを伝えたいです。そうしないと、常温で働く酵素の本来の意味が理解出来なくなります。NHKの番組サイエンスZEROがいい教材になります。

2.地球上の多様な生物に関連性があることを教えるには分類に触れざるをえません。5界説は分類の基準も含めて教えます。それぞれの界に分類される細胞の観察もやります。

3.生物の共通性は先ほど述べたとおり、根本原理をシンプルに伝えます。

4.省略

5.細胞の集団が多細胞生物ではない。細胞間のシグナリングが細胞集団の生存可能な状況を創り出す様なフィードバックを連綿と繰り返しながら、連鎖反応的生化学反応が細胞間で間違いなく進行している状況が多細胞生物であることを伝える様努力します。
大事なことは、細胞内・外・間シグナル伝達です。この動画を見せて考えさせます。



6.細胞小器官は具体的な動きや働きを動画で見せます。特に重要なのは細胞膜です。細胞膜については、こちらを参考に。

7.膜構造物であるかそうでないかは、代謝の学習時にとても重要になります。しっかり確認させます。

8.教科書では発展的に扱っていますが、細胞形態維持・染色体分離・細胞内輸送等を教えるときにとても重要になります。

9と10は「生物基礎」で扱いませんが来年度も見越して教えます。

では、次は「細胞とエネルギー」の単元です。

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